アストラゼネカへの投資を考える

個別銘柄

 日米で決算が発表されていますね。 良い決算、悪い決算様々ですがこの決算次第で株価はおおきく変動します。 これは数日続く場合もあり、侮れないのです。

 マグニフィセント7のように大手の会社の決算は特に注目を集めてるために、その日の米株価全体にも影響を及ぼしてます。 その中から今回は最近あまり注目されてない英国のヘルスケア株について紹介していきます。

アストラゼネカ(AZN)への投資

 英国を代表するヘルスケア会社であるアストラゼネカ。 今回はこの会社の決算と将来性も含めた投資対象として見ていこうと思います。

アストロゼネカの概要

 アストロゼネカはUK(英国)ケンブリッジに本拠を構える医薬品企業です。 今の会社の設立はスウェーデンのアストロABと英国のゼネカグループが合併して出来た企業で現在ロンドン証券取引所とNASDAQに上場しています。 どちらもティッカーは「AZN」。 時価総額は約2200億ドルで従業員は約83,000人です。 医薬品会社として大手であり、ディフェンシブ銘柄としても有名です。  2018〜2024年で株価は約2倍以上に上昇。 コロナワクチン需要が落ち着いた後も、がん・腎・希少疾患の新薬で業績を拡大し、米国製薬大手(イーライリリーやノボノルディスク)ほど高騰していないため、比較的割安な大型株とも言われています。 安定上昇傾向(製薬セクター平均よりボラティリティが低い)

🔹 事業概要

アストラゼネカは革新的な医薬品の研究・開発・販売を行う企業で、主に以下5分野に注力しています。

分野主な疾患領域・製品
1. がん(Oncology)タグリッソ(肺がん)、リンパーザ(乳がん・卵巣がん)など
2. 心血管・腎・代謝疾患(CVRM)フォシーガ(糖尿病・心不全・慢性腎臓病)
3. 呼吸器・免疫(R&I)シンビコート(喘息・COPD)、テゼペルマブ(重症喘息)
4. 希少疾患(Rare Diseases)2021年に買収したAlexion社が中心(補体関連疾患治療薬など)
5. 感染症・ワクチンCOVID-19ワクチン(Vaxzevria)など

特にがん治療・希少疾病治療薬で業績を拡大しています。  がん治療薬関係での売上は約223.5億ドル。 心疾患系で125.2億ドル。 呼吸器系で78億ドル。 希少疾患で87億ドルです。 

🔹 研究開発(R&D)

  • 年間研究開発費:約100億ドル超(売上の20%前後)
  • 主要な研究拠点:英国ケンブリッジ、スウェーデンのヨーテボリ、米国ボストンなど
  • 強み:がん免疫療法、バイオ医薬品、遺伝子・mRNA技術など

🔹 財務・業績(概略)

年度売上高営業利益備考
2023年448億ドル83億ドルフォシーガとタグリッソが牽引
2024年470億ドル前後(予想)成長続くが、コロナ関連収益は減少傾向

🔹 成長ドライバー

  • がん領域の圧倒的強さ(タグリッソ・イミフィンジなどが主力)
  • フォシーガ(心不全・腎疾患対応)によるブロックバスター化
  • Alexion買収による希少疾患領域の拡大
  • mRNAや遺伝子治療、抗体薬など次世代バイオ技術への投資

🔹 競合企業

分野主な競合
がん治療薬ロシュ、メルク、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ
糖尿病・心血管ノボノルディスク、イーライリリー
希少疾患サノフィ、武田薬品、バイオマリン

🔹 最近の動き(2024〜2025年)

  • AI創薬の活用強化(NVIDIAやBenevolentAIなどと提携)
  • Alexion買収シナジーによる希少疾患パイプライン拡大
  • 日本市場でもタグリッソ、フォシーガのシェア拡大
  • 脱コロナ依存の新薬ポートフォリオ構築中

 私自身も数年前から購入してます。 ポートフォリオ内でのリスク分散として日米だけに偏らないように少しではありますが他国の株にも投資する一環で購入しました。  次は直近の決算を見てみましょう。

直近の決算

9M(1–9月)業績は以下の通りです。

指標数値前年同期比補足
売上高432億3600万ドル+11%全地域で成長
Core EPS7.04ドル+15%利益率改善
Core 営業利益成長+13%コアベース
治療領域:Oncology+16%がん領域が主導
治療領域:R&I+13%呼吸器・免疫領域
通期ガイダンス売上:高シングル桁%成長 / EPS:低ダブル桁%成長変更なし

 安定的に売上や収益を伸ばしています。 コロナワクチンも落ち着いてますが他の分野が貢献しています。

Q3(7–9月)業績

指標数値前年同期比補足
売上高151億9100ドル+12%強い四半期
Core EPS2.38ドル+14%アナリスト予想を上回る
純利益25億3300万ドル+77%大幅増益
フリーキャッシュフロー28億400万ドル+56%現金保有もQ2に続き好調

 直近の決算Q3は売上・利益・EPSともに良い内容でした。  良い決算内容に株価も順調に上昇しています。



リスクを考える

リスク項目内容
特許切れ主力薬(タグリッソなど)が2030年前後に特許満了予定。後発薬の影響懸念。
政策リスク米国薬価制度の変更可能性
競合バイオシミラー・特許期限
臨床リスク個別試験失敗の可能性

リスクについては主力薬であるタグリッソ等が特許満了になる事でしょうね。 特許がなくなれば他社が同じような成分で後発薬を販売できるようになる為、価格競争に陥って売上も収益も大幅にダウンします。 また、米国においてはトランプ大統領の考えで他国で製造した医薬品に100%の関税を課す政策を実行するようです。 EUとの関税交渉では15%の関税ですが、現在、英国はEUに加盟していませんので米国とは個別に交渉しなければいけません。 

 ただ、アストロゼネカは個別交渉で薬価引き下げと米国への500億ドルの投資を条件に今後3年間は関税免除になっています。 ですから今の所は関税の影響はないようですが今後は分かりません。 その不確実性もリスクと言えるでしょうね。

将来性

① 成長ドライバーが複数あり「中長期で強い」企業

アストラゼネカは以下の領域に強い製品ポートフォリオを持ち、
今後5〜10年で需要が伸びる可能性が高い分野に集中しています。

● がん領域(オンクロジー)

➡ 最も強い柱で、今後も売上の中心
特に以下の薬が長期的な成長源

  • Tagrisso(タグリッソ):EGFR肺がん 世界トップクラス
  • Enhertu(エンハーツ):抗体薬物複合体(ADC)領域の “超注目株”
  • Imfinzi(イムフィンジ):免疫チェックポイント阻害剤

がん領域は世界的に患者数が増加しており、アストラゼネカの得意分野。


② パイプライン(開発中の新薬)が業界トップクラス

アストラゼネカは開発候補がとても多く、特に以下の分野は今後のブレイク候補。

● ADC(抗体薬物複合体)
  • エンハーツの成功で世界的にリード
  • 他のADC候補も順調
    → 今後5〜10年の大型収益源に育つ可能性
● 心腎代謝(CKD・心不全など)
  • Farxiga(ファーシガ):SGLT2阻害剤で世界中で売上拡大中
  • 慢性腎臓病の世界的増加が追い風
● 呼吸器領域
  • 昔からの強みで長期的な需要は高いまま

③ M&A戦略が上手く、技術獲得に積極的

アストラゼネカは過去10年で多くの企業を買収し、技術力を伸ばしています。

例)Daiichi Sankyo(第一三共)との協業 → Enhertu創出

  Alexion買収 → 免疫・希少疾患領域の強化

→ 技術やパイプライン不足になりにくい体制。


④ 財務も堅実でリスク分散できている

  • 分野が分散しており、特定領域への依存度が競合より低い
  • キャッシュフローも安定
  • 新薬の上市(発売)ペースが比較的早い

製薬会社にありがちな「特定の薬の特許切れショック」が起きにくい構造。


結論:アストラゼネカの将来性(まとめ)

項目評価コメント
成長余地がん領域とADCの強さが世界トップ級
収益安定性多領域に分散、ロングセラー薬が多い
リスクM&Aコスト、規制、競合の激化
中長期展望今後10年も医薬品大手の中で成長速度は高い部類

強みであるオンコロジー領域がまだまだ成長できそうなこと、ロングセラーな医薬品を多く抱えていて新薬開発も多くあることから着実な経営が今後も続きそうです。 配当は現在1.72%で低いのですが今後の成長期待もありキャピタルゲイン狙いで投資してもいい企業だと思われます。 

 個人的には分散もかねて日米の株だけでなく他国の株も買うようにしてますのでアストラゼネカは理に叶った投資先だと考えています。 配当は少ないですが長期保有で保持するつもりです。

 今回は医薬品大手のアストラゼネカについて考えてみました。  何かの役に立てば幸いです。

 

弱小投資家さん

投資歴6年程のまだまだ投資初心者50代前半♂です。 インデックス投資と個別株、コモディティに仮想通貨少ない資金を分散投資してます。  投資額数百万の弱小投資家ですが地道にやってます。

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