ここのところ、中国の経済について懸念されるニュースが飛び交っていますね。 今日は中国の経済先行きが日米に与える影響について書いていこうと思います。
中国の現状(不動産)
今現在の中国の経済状況はどうなっているのでしょうか? 順を追って説明していきますね。
先ず、不動産大手の恒大集団の米連邦破産法15条の適用申請や碧佳園(カントリー・ガーデン)の債務不履行懸念が大きく影を落としている不動産市場です。 恒大集団は2年前からニュースを賑わせていた不動産デベロッパーで今回の申請はアメリカにある資産を強制的に処分されないようにするための施策となるでしょう。 また碧佳園は8月19日に私募債償還の3年間延長を提案している状況でこのまま好転しなければ債務不履行となる懸念が高まっています。 また最近は中堅デベロッパーの遠洋集団も人民元債の償還が困難になり期限延長を提案しているようです。
中国の不動産市場はコロナ禍以降下降局面を迎え、2023年1-7月の期間での不動産開発投資は-8.5%、面積は同期間で-6.5%の減少を記録しています。 去年から燻る不動産市場はずさんな経営方法でもバブル時は儲けれたのですが、バブルがはじけると瞬く間に資金繰りに窮するようになりました。 これら不動産デベロッパーが相次ぎ資金難に陥ってしまうと資金の貸し手の地方銀行も大きな影響を受けて破綻する可能性があり、地方政府の年金的な基金も支払いに窮する事態になる可能性があるわけです。 それは単に不動産業界だけの問題ではなく地方の政府・銀行・人民に大きな影響を及ぼすという事になります。
それに問題なのは中央政府がこの問題に対して抜本的な対策を打っておらず先行きは暗いのが懸念材料です。 中国の不動産デベロッパーは銀行からの借入と購入客の前払い金を元手に開発を進めていたわけですからその資金が滞ると一気に破綻へと突き進む構造となっています。 前で紹介した3社は氷山の一角でしかなく今後破綻懸念として上がる不動産デベロッパーは益々増える予想です。 ここで政府が徹底的な対策を講じていればボヤで済んでいたかも知れませんが具体的な対策は打っておらず日本のバブル崩壊と違ってもっと大きな崩壊懸念が出てきているようです。
政策の愚は2022年に中国政府が行った金融規制です。 急激に規制された金融市場は不動産デベロッパーの資金源を断ち運営を困難にしたのです。 その為、今日の不動産バブルの崩壊へとつながっています。 市場原理の後退ではなく政策によって引き起こされた崩壊というわけです。
中国の現状(経済)
今現状の中国は景気後退に入っていると言えます。 インフレも収まり景気指標は大方下落しています。 また、失業率も高まり若者(16~24歳)の6月で21.3%と高いです。 大学をいっぱい作り受験戦争を呈していた数年前と違い今は大学を出ても仕事に就けない若者であふれています。 7月からの失業率の発表も停止していて更なる悪化は間違いないでしょうし、何より信用できないですよね。
先ほどの不動産と絡んでくるのですが、地方政府は不動産で資金を得ていた部分が多くその不動産が現状のような下落傾向では資金が枯渇し公務員の給与や公共投資に回す資金もなくなり景気浮揚が難しくなります。 また、金融規制時にIT系企業にも大きな制裁を科したせいでIT業界にも悪化が懸念されており中国の経済を引っ張ってきた業界を多きに冷やした政策が経済全体に影響して仇となってるようです。 地方政府傘下の投資会社の負債は約66兆元あるのに、たった1兆元の資金調達しか緩和しておらず政府の政策は小出しすぎて効果がありません。
これらの要因から心理的に中国に対して不安が国内外から増していて資金を中国外へ移す動きが多くなっています。 不動産を起点にお金が回っていた中国が今、不動産によってお金が回らなくなっているわけですからこの逆流は構造改革なくして改善しないでしょう。 ですが、今の中央政府の施策では小出し感が否めず、抜本的な変革は期待できず経済は減速していくことでしょう。 そしてかつて日本が歩んできたようにデフレが中国を襲う可能性が高いです。 デフレはお金の価値が下がっていく現象ですから益々中国経済は悪化していきます。
今後の懸念は?
今後、懸念しなければいけない事はなんでしょうか?
私が考えてるのは景気の悪化で世界のサプライチェーンは弱くなります。 中国経済頼みだった消費は減少し、世界の売上は減少していくでしょう。 それに伴い銅や鉄鋼関係は大きなダメージを受けるでしょうからその懸念から株は売られるでしょう。 代表的な銘柄として小売りのアップルや銅のフリーポートマクモラン、鉄鋼のリオティントは中国経済の影響をもろに受けそうです。
また、最近では日本の原発でできた処理水放出が原因で日本の水産物の輸入禁止を発表しました。 これは中国国内での水産物価格上昇を招きますから自ら首を絞める結果になりそうです。
そして国内に溜まった不満が爆発してしまうと世論を外に向けようと政府は画策します。 他国を執拗に敵視したり規制したりして今の現状は他国が悪いという責任転換を始める可能性が高くなります。 そこで規制された特定の業種は大きな下落を免れないでしょう。
また、台湾有事も視野に入ってきます。 今の政府が政権維持に不安を抱えるようになると台湾への進行が現実味を帯びてきます。 要は戦争を始める事で政府への不満を反らす可能性も否めなくなります。 そうなってくると対岸の火事では済ませれなくなってくるのが日本です。
地政学上の懸念は投資をするうえで予測が難しくまた起こってしまうと大きく値が動く事項です。 未来の事は誰にもわかりませんが地政学的要因と東南海地震時に投資している資金をどうするかは考えておいて損は無いと思います。 大きな下落時に基本的なルールを決めておかないとパニックに陥る可能性が高くなりますよね。 パニック状態では冷静な判断ができません。 大きく下落する資産に対して売るのか保持するのか? それぞれにセクター別や銘柄別に備えておきたいですね。
コメント