ここ数日、アメリカの経済指標が弱含んでいます。 本来なら弱含んでいる指標は株にとってマイナス情報なのですが、そうではない事もありますよね。 まさに今回の雇用情勢等の悪化は株にとっては好感される結果となりました。
今日は悪化した指標である雇用動態調査・消費者信頼感指数・ADP雇用統計を詳しく解説していきます。
7月雇用動態調査
7月のJOLTS求人件数は予想946.5万件に対して882.7万件と大きく下げています。 これは2021年3月以来の約年半ぶりの低水準で、3か月連続の下落です。 専門家は「依然として雇用は逼迫しているが過剰度合いは低下傾向にあり、レイオフや失業の高まりが原因というより企業が求人を減らしているせいだ。」と言っています。 現時点では失業率を上げることなく推移しています。
FRBが重視している雇用情勢は落ち着きつつあるという事で今後の利上げは一旦据え置きになる公算が高くなりそうだと多くのエコノミストは考えているようです。
消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
8月の消費者信頼感指数は予想116.0に対して結果106.1と予想より低い数値となっています。
アメリカの消費者達は再び食料品や燃料の価格上昇に懸念を抱いているようです。 下げはすべての世代で見られているようで世帯年収10万(1460万円)ドル以上と5万(730万円)ドル以下の世帯に特に顕著だったようです。 消費者の中でインフレ懸念が再燃して消費心理に影響しているのがうかがわれますね。
ADP雇用統計
8月のADP雇用統計は予想19.5万人に対して結果は17.7万人と予想より少ない結果となりました。 雇用が減少しつつあるのは景気後退が避けられない事実であり、FRBの政策に大きく影響しそうです。
今後の見通しについて
3つの指標の悪化を見て頂きましたが、これらの指標は平常時には悪いニュースとして株価には下落要因となる内容なのですが、今の株式市場には逆に良いニュースとして上昇材料となっています。 それはなぜか?
利上げを継続してきた局面においてはいつ利上げを止めるのか?またはいつから利下げが始まるのか?について投資家たちは敏感になります。 利下げは景気後退を認識できる指標が出る事で始まりやすく利上げは過熱する景気上昇を抑えるために行うものです。 利上げが続いている現在では利下げにつながる景気後退をうかがわせる指標結果はFRBの政策運営の変化を早める可能性があるため、ここでは利下げや利上げストップが意識され利下げは市中のお金の流れが良くなりますから株が上がりやすくなるわけです。 景気後退は意識され始めたら株は一時的に下がりますがFRBの利下げ等では上昇局面となります。
利上げの可能性が低くなる経済指標の下落は投資家にとって好感されるため株は上がるのです。 ですからこの場合の悪い指標は良いニュースとなるわけです。 9月1日の労働省による雇用統計の結果待ちで上値も重たい展開ですが結果が投資家にとって良いニュースとなればさらなる上昇につながるでしょう。 しかし、9月のアノマリーも意識してしまいます。 9月は年間を通しても一番パフォーマンスが悪い月として認識されています。 こことも意識しつつ投資判断をしていきたいですね。
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