7月6日、米国での重要な経済指標であるADP雇用統計とISM非製造業景況指数が発表されました。 経済の先行きを考えるうえでも毎月発表されるこの経済指標は重要視されています。 それではそれぞれの指標を詳しく説明していきます。
ADP雇用統計とは?
ADP雇用統計とは米国の大手給与代行サービス会社である、オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)のデータを基にして全米の非農業部門雇用者数を予測するために出来た統計です。 米国の雇用統計の発表の前に1~2日前に発表せれるため雇用統計の先にADPの統計で予測する向きが強く重要な指標の一つとなっています。
ISM非製造業景況指数とは?
ISM製造業景況指数とは全米供給管理協会(ISM)が発表する非製造業景況感指数です。 全米の非製造業の370人以上の購買・供給管理の役員に新規受注、在庫、価格、雇用などの項目から前月から「良くなった」「変わらず」「悪くなった」の3つから選択してもらい結果を%で表したもので、これによって今非製造業が景気がいいのか悪いのかを判断できる指標として重要視されています。
ADPとISMの結果から読み取れるもの。
それぞれの指標の結果はどうかというと。 ADP雇用統計は予想22.8万人に対して49.7万人と予想外に大きく上昇しており雇用面は好調であるとこの統計からは読み取れます。 一方、ISM非製造業景況指数は予想51.0に対して53.9とこちらも予想外に上昇してサービス業を中心に景況感が良くなっていると考えられます。
どちらも結果としては底堅い経済をけん引しており景気後退がささやかれていますが、今のところその兆しが指標に表れていません。 このままだとソフトランディングになるのでは?との考え方がコンセンサスになりそうです。 雇用統計に関してはあくまで民間企業の統計であるADPと米国の雇用統計とは必ずしも一致しませんし、雇用の強さはもうそろそろ頭打ちではないかと言われています。 また、サービス業関連に対してはインフレで物価が上昇しているにも関わらずコロナ禍からの需要回復で消費は底堅い情勢を物語っています。 ただ、インフレ率は低下傾向にあり底堅い経済に物価の安定が確保されれば景気後退は緩やかなものになる可能性が高まってきています。 ロシアや中国の地政学的な動向や今年のエルニーニョ現象から来る異常気象でのインフレ再燃もリスク要因ではありますが、今現在の指標だけで考えるならば悲観的なシナリオは考えていません。 雇用統計の指数を重要視ししているFRBは7月はほぼ確実に利上げするでしょうし、そのあとの9月にどう出るかについて市場関係者は注視していると思います。 昨日の米国市場は2つの経済指標の強さを見て利上げが確実視され、市場は下落しました。 今現在の日経平均もそれにつられて&ETFの分配金捻出の売りも加わり下げています。 著名な投資家達も7月は下げに警戒しています。 今月は様子見で過ごすことになりそうですね。
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